[相場考] 見えてきたアメリカの対中戦略?

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ブログ主はiBankCoinという投資サイトをその立ち上げ時から「愛読」しています。主宰のThe Fly氏は若い頃から投資ビジネスで生き延びてきた、辛口で有能な投資家です。口は悪いけど、言ってることはごくまとも。今回も含蓄のあるコメントを残していますので紹介しましょう。

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交渉手づまり感

今回は、昨晩(2019.9.27)のThe Fly氏の投稿から参考になるコメントを紹介します。

The idea of Trump limiting US investment into China is patently absurd, on par with applying sanctions onto a terorrist state. What’s the end game here? War? This country loves created a crisis out of thin air, just to solve it later. Obviously, the art of the deal has fallen short, thus far, so Trump is increasing the pressure on Beijing to acquiesce.

(意訳)対中投資規制を言い出すトランプってバカなの?テロ国家への経済制裁とおんなじで無意味。落としどころはどこよ。戦争?この国は火のないところに煙を立てるの、大好き。解決はその後で考える。交渉の手づまり感ハンパないから、トランプは不承不承でも従えって中共に圧力かけてるわけ。

Given the current political climate, I doubt they will. Ergo, prepare for broken elevator trading action next week.

ま、現下の政治状況で北京が従う見込みはゼロ。それゆえ、諸君、覚悟はいいか。来週は壊れた昇降機相場が来るぞ。

Top ideas: Volatility, short China.

投資のヒント:高ボラ狙い、中国売り

肉を切らせて骨を断つ

中国企業の強制的上場廃止とか対中投資規制とかいう話は資本主義と自由貿易の権化であるアメリカにとって自己矛盾。そもそも実現の可能性は低いはずです。そんなことは政権も百も承知。読み取るべきは交渉手づまり感の演出の裏にある意図です。

ずばり狙いは、中国企業総体の時価総額を破壊することでしょう。過去数十年続いてきた巨大なカネの流れを断ち切り、中共の財政基盤を弱体化させることが目的だと思います。日本のバブル崩壊に匹敵するような、中国売り浴びせを決行する狼煙のようなものでしょうか。

目的を達成するまでにはアメリカ市場も他国の市場も当然傷つきます。だからこそThe Fly氏は、中国ショートと乱高下で儲かるVIXや国債ETFを「推奨」しているのでしょう。

10月は久しぶりにトレーダーの血沸き肉躍る相場が戻ってきそうです。

先制攻撃はアメリカの伝統

以下は補足です。

政治も経済も国単位で見ると矛盾で混乱します。実質は利権集団単位(グローバリストvs非グローバリスト)で動いているからです。

トランプ政権は久々の非グローバリストの政権(共和党)ですが、その登場には大きく2つ背景があると思います。

  • ひとつは国際派(民主党)による国民生活の破壊が進み過ぎたこと。これ以上破壊が進むと国家としての機能不全に陥り、内部からアメリカが崩壊してしまいます。
  • もうひとつは、(おもに米民主党との)蜜月が行き過ぎて、中共が増長し、アメリカの覇権国の地位を脅かし始めたこと。アジア人に対する基本的無理解(歴史無知)が生んだ自業自得なのですが。

しかしアメリカという国は、転んでもただじゃ起きません。The Fly氏の言う通り、”created a crisis out of thin air, just to solve it later” な国だからです。

まず仕掛けて事後的に解決を図る。これがUSの伝統的やり方。危機があると先制攻撃を仕掛けます。自分の土俵へ相手を引きずり込むためです。そうして相手の反撃を誘う。なるべく持久戦に持ち込み、相手の弱るのを待つ。最後は法や正義や国際世論などの大義名分で自分の正当性を確保する。そうやって覇権国にのしあがってきたのです。

例えば、先の世界大戦がそうでした。当時野心に燃え立っていたアメリカは、ほとんど自分とは無関係な、日本の満州(大陸)利権に手を突っ込んできて、中共を後ろから支援し、日本軍を大陸から追い出しました。その後国共合作の茶番劇を経て、中共を「正統政府」に祭り上げたのは他でもないアメリカ(国際派)です。そのつけがいま巡ってきて、solve it laterな事態に立ち至っているという次第。

バカなのか利口なのかよくわからないのですが、行動原理は一貫しています。気になるのはこの「脅し」の帰結先。

中共に絡む巨大なカネの流れを破壊するのが目的なので、中共が白旗をあげるまで手をゆるめないでしょう。中共は益々日本にすり寄ってきそうですが、最終的にはロシアやドイツのカネを当てにするしかないでしょう。必然的に世界経済は再ブロック化へ進まざるをえない雲行きです。

安倍さんが事あるごとに口にする「価値観をともにする」とはアメリカ側は法の支配(という建前)で動く国々の集団で、中露側はならず者の人治国家集団だという含みです。

東西の呼応関係

アメリカの戦略顧問のような存在である旧宗主国のイギリスが、ユーラシアの西端でBrexitを強行するのも、こうした空気をいち早く読んだからではないかと思います。そういう意味では、西ではドイツ潰し、東では中国潰しと、ユーラシアの東西で呼応する動きが出始めているわけですね(ドイツは大陸国家なので英米とは組めない宿命)。

日本は全方位外交とやらでのらりくらりを続けていますが、いずれかのタイミングでアメリカに決断を迫られるでしょう。