[特別記事] 株式のメガトレンドと次に “来る” セクター

コモディティ, チャート分析, 日経平均, 独自コラム, 相場考, 米株チャート

年頭に当たって株式市場の大きなトレンドについて考えてみます。ブログ主は長期ブル相場継続を主張していますが、その一方で、日本経済の行方を気にかけています。日本復活の鍵はないのでしょうか?

ずばり、あると思います、それは理性より感情にそぐう日本人に合った新産業の成長です。

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ブル相場フェーズ2の背景

ブログ主が一貫して株に強気な理由はいくつかあります。

空前の資金供給

リーマンショック後の全世界的な金融緩和で空前規模の資金が市場に供給されていますが、先進諸国のインフレ率はあまり上昇していません。基本的には供給過剰の世界市場の実情を反映しているのですが、裏を返せば、まだ慎重な資金が多いこと、すなわち投入先の有望なセクターを物色している勢力が少なくないことを意味しています。このような状況でリセッション入りし、ベア相場が始まる確率は低いと考えられます。

市場を引っ張るセクターの交代

リーマンショックは100年に一度の信用収縮でした。これは市場が「過去の清算」を済ませ、新たな産業への投資を準備したことを意味します。2009年以来のブル相場をけん引してきたのはFAGAに代表されるIT産業(半導体セクター含む)でした。歴史的に見て、同じセクターが何十年も市場を引っ張ることはなく、10年1サイクルくらいの周期で主役が交代します。では次なる有望なセクターはどこにあるのでしょう?

日本市場の復活と理性主義の限界

これを考えるうえで重要なのが、これまでのブル相場を引っ張ってきた米中が覇権戦争に入り、その間で漁夫の利を得るだろう日本経済の存在です。「朝鮮戦争2.0」ですね。個人的な希望もこめて、日本経済の復活こそが次なる上昇フェーズの鍵になるのではないかと思っています。

例によって、日本のメディアは、AIや自動化技術での日本の出遅れを喧伝して庶民のこうべをうなだれされるような悲観報道を続けています。しかし、ブログ主は現状のAIや自動化のアプローチにシンギュラリティのような楽観論が実現する可能性より、理性主義の限界のようなものを感じています。

理性より感情が次代の鍵

ユヴァル・ハラリ氏や池田信夫氏の人類史の議論を読んでいただければわかりますが、人間が理性を人類の専売特許として誇り、神さまなしでも地球の主人としてやっていけると信じ始めたのはたかだか300年前のことです。

たとえば、この池田氏の記事にこういう記述があります。

人類がここまで繁殖した最大の原因は、個体の能力が高いからではない。その肉体は貧弱なので、集団で移動して身を守らなければならない。集団には規模の経済があるので、大きければ大きいほど有利になる。

つまりコウモリが洞窟というニッチで生き残ったように、人類は「弱い個体が大きな集団で移動する」というニッチで生き残ったのだ。そのコアは血縁を超えた協力で集団を維持する能力だが、集団が大きくなると、裏切り者が出てきて紛争が起こる。大きな集団を維持するためには、つねに他人とコミュニケーションをとり、敵を排除して仲間と協力する行動が必要だ。

つまり、生存にもっとも必要な判断は感情(死の恐怖とその回避欲)から来るのです。理性(その生みの親でもある言語)は、個体としては弱者な人類が、他の強者に伍して地上で伸していくための集団戦略のなかで後天的に発達させた能力なわけです。

情と健康を重んじる時代への変化

この300年間の理性優位時代を引っ張ってきた西洋文明に陰りが見える以上、復活の狼煙は非西洋から上がるしかないのですが、それが中国であるとは思えません。世界のパーソナルな価値、個人の自由を希求する巨大な流れはもう変えようがなく、中国のような専制体制しか敷けない文明では器になりようがないからです。

復活の狼煙はソフトパワー大国である日本から上がるのがものの道理というものです。集団としての日本人は感情の揺れ動きに敏感で、情を重んじる国民です。基本的には、情が納得しなければ動きません。情が理なのです。あるいは、情と理を序列化しない文化なのです。

日本人が現状のAIや自動化に血道を上げないのは、自民党や高級官僚や企業幹部の体たらくもあるかもしれませんが、要するには「ピンとこない」からではないでしょうか?軍事ニーズ(覇権願望、征服欲)が先端技術を育てるような世界観自体に違和感を感じ続けているからではないかと思うのです。

現状の進み方を見る限り、AIの適用先はミリタリーユースとビジネスユースに限定されざるを得ないでしょう。AI技術は日本人が「感情面の開発」を担当し始めて初めて「使いものになる」のではないかと思います。

ではAIや自動化の他に、もっと日本人に納得がいく、日本人が得意な成長分野はないのでしょうか?

少子高齢化の大状況、よりパーソナルな、個人を主体とする世界の潮流を背景に考えれば、日本人の活躍する舞台はバイオテクノロジー産業(医療技術・関連機器のみならず農業や化学への応用も含む)以外ないのではないかと思います。このセクターこそ、人に役に立ちたいという利他心(情)を満足させつつ、日本人の緻密できめ細かな技術を活かせる分野だからです。

バイオテクノロジーセクター

以下のチャートをご覧ください。これはアメリカのバイオテクノロジーセクターETF(XBI)の日足チャートですが、クリスマス以来の急騰相場でもっとも顕著な反発を見せています。

※チャートをクリックすれば別ウインドウに拡大表示。

昨日もマクレラン・オシレータの件でツイートしましたように、クリスマス以来の1週間で60年代以来数十年ぶりの資金の市場入りが見られました。これは大口の大尽買いがなければありえない現象です。異例の年末大底が演じられた可能性が高く、大口はとくに力を入れてバイオテクセクターを買ったと思われます。

デフレマインドと潜在的買い手の存在

巨視的な視点からは、理性偏重世界への適応性の低さ(ピンとこないのでポカンとしている)が日本経済の停滞を招いたのだと思います(戦後に顕著な平和主義が、いまに至っても堅持されているのは究極的にはその方が感情的に納得がいくからで、右や左のイデオロギーの問題が本質ではないような気がします)。

日本経済が浮上しない最大の理由の一つが貯金率の高止まりです。せっかく潤沢な国民資産があっても、老人のタンスで居眠りしているのです。

でも高齢化に対処し、健康志向や難病治療といった課題、あるいはTPPやEPAにも絡むアグリビジネスなどに深く関係する裾野の広いバイオ技術ならどうでしょう?日本人投資家の重い腰も上がるのではないでしょうか?

1980年代のバブルもそうでしたが、猫も杓子も株・株・株にならないと大相場は天井を付けません。時代の嗜好は完全に「パーソナル」「個人」だと思いますので、その意味でも日本人はAIや自動化といった雲をつかむようなセクターより、より密接にいのちを感じさせるバイオセクターを選好するのではないかと思います。

いずれにしても、消費増税をあざわらうかのような、国民総ぐるみの高揚感や過熱感が醸成されない限り、この相場は終わらないとブログ主は考えます。

悪性インフレの到来

バイオ産業の成長は長期に渡ると思いますが、市場は単調に上げ続けることはありません。金融緩和のおかげで、インフレ傾向はブル相場第二フェーズにおいては国債も株もコモディティも引き上げる要因として働きますが、やがて市場が過熱すると逆に悪性インフレになって市場を痛めつける劇薬に変貌します。そうなったときがフェーズ2の天井であり、株式がベア相場入りするタイミングです。

ブログ主は、そんなときに備えて金ETFと金鉱株をホールドするつもりです。

 

SPX月足によるメガトレンド予想

下のチャートを見てください。これがブログ主の、米中長期冷戦下におけるアメリカ経済の成長軌跡予測図です。

※チャートをクリックすれば別ウインドウに拡大表示。

前回の株式メガトレンドは1970年代後半から2000年まで四半世紀続きました。相場を押し上げたのは金融を含む経済の情報化という革命的変化(PCとインターネットの普及)でした。その後、約10年の調整期間を挟んで、2009年から再度メガトレンド入りしたと思うのですが、今回も四半世紀は続くメガトレンドなら、そのピークは2030年代に来ることになります。

平均回帰

どんなにデジタル化やアルゴ取引が進んでも、相場はけっしてランダムウォークではありません。ランダムに見えるのは日々の値動きだけで、巨視的に見れば必ずトレンドを伴っています。

統計学的に言えば、もっとも確率的にあり得る相場の動きはトレンド継続中に起こる平均への回帰(reversion to the mean)です。これが相場の踊り場(大調整)の正体です。

平均回帰が起こると、投資家の間で不安(懸念、恐怖)心理が顕在化し、重要な敷居となる移動平均線への価格調整が行われます。上のチャートを見れば、数年に一度、50か月移動平均線=50MMA(週足の場合なら200週移動平均線=200WMA)への回帰が起きているのがおわかりいただけると思います。いまのところ今回の調整も200WMAで止まっています。

不変の人間性

なぜこういう平均回帰が計ったように起こるのでしょうか?時代は移っても人間性は不変だから、数年に一度は「我に返る」のです。先ほども言いましたように、人間の古い脳は感情が支配します。もっともベーシックな判断は感情が行います。危機を感じたときは理性より感情が勝ります。貪欲より恐怖の方がスピードも速いので暴落が起きるのです。

しかし、人間性の常、暴落もまた行き過ぎます。みなが悲観のなかで下方向ばかりを見ているとき、そのピークを冷静に見定め、買いを入れるのは理性の力です。

今回は、米中冷戦、景気後退懸念など、あえてリスク要因には触れませんでした。個人的には、米中戦争は長期化するので、株のトレンドには影響せず、市場の「背景」「環境」になっていくと考えています。

 

オマケ:アメリカの困った習性について

アメリカという国は最初の判断を間違いやすい習性を持っています。歴史の浅さが仇になるのです。

  • 日本での成功事例を既定路線と考えて中国もイラクも民主化・自由化できると考えてさんざん投資してきたのですが、結局、いまは誤った判断の修正にエネルギーを費やしています。
  • 先の太平洋戦争だってアメリカが日本を敵視した判断は誤りだと言えます。欧州列強とは異なり、アメリカは国内に資源も安い労働力(黒人奴隷)もあって外部へ拡張する必然性などなかったのですから。結果的には日本という妾を得たのですから成功とも言えるのですが、バブルの頃は日本潰しに躍起でした。
  • イスラエルへの関与も同様です。イギリスの尻拭いを買って出て泥沼に引きずり込まれているのです。中東専門の歴史学者の間では常識化しているのですが、パレスチナ人こそ残留ユダヤ人の末裔であり、血統的には、戦後入植したユダヤ人たちより「正統」な人々なことがわかっています。もちろん、このような「真実」は世界政治的にタブーなので誰も報じませんが・・・

そのアメリカがようやく「外部へ拡張する必然性」がないという己の国の運命に目覚め、路線変更しようとしています。トランプをくさす日米欧のメディアはリベラルの不法占拠する場であり、そのことをよく知るトランプはあえてツイッター発信を優先しています。America Firstはトランプが発したメッセージの前段に過ぎません。その後には、各国も自国ファーストでいいじゃないかと続くのです。何が問題なのでしょう?

リベラルは現代版の共産主義者なので、本当は自由主義や自由競争が嫌いなのです。彼らは自由を守りたいからトランプに反対しているのではなく、戦後の既得権益を失いたくないから抵抗しているに過ぎません。リベラル=共産主義の特性は全体主義的なことです。彼らのきれいごとや本音の偽装にほだされないよう気をつけましょう。