[仮想通貨考] 暴落の真相と規制当局内のホワイトハット

2018年2月8日海外記事, 独自コラム, 相場考

仮想通貨市場暴落の真相?

仮想通貨市場をめぐるアメリカの動向を調べていた。詳細は省略するが、今回の暴落劇の狙いが見えた。

簡単にいえば「買いたい弱気」なのだった。仮想通貨を買いたい大口投資家はたくさんいるが、値段が高すぎる。そのため当局が規制を言い始めたこのタイミングで、テザー疑惑(知る人ぞ知る今さらのニュース)など大量のFUDやネガティブニュースを流し、何も知らない投資家を脅かして売らせ、大口に買い場を提供したというわけだ。

別に珍しくもない。株式市場では日常茶飯事の手口である。気の短い人のように結論を書けば「仮想通貨は買い」である。

大口は何を確信したのか?

では、なぜ買いたい大口投資家が多いのか?

当然、「仮想通貨の未来は約束された」と彼らが確信したからだ。彼らがその確信に至った背景には、アメリカのナショナリズムの反転攻勢がある。クリモネもつねに感じていたことだが、アメリカの政府や規制当局は伝統的に一枚岩ではない。伝統的に民主党が政権を握ると、保守本流の神経を逆なでするようなアメリカの弱体化が進む。ましてや70年代以降、アメリカは寄生虫に乗っ取られたも同然の状態だった。

グローバリストの白旗

FRBが誕生して以来の過去1世紀、金融資本とマスメディアを味方につけたグローバリストがどんどん力をつけ、ネオリベラリズム的価値観を人々に植え付けてきた。国家意識の解体が儲けにつながるスキームの拡大である。

このグローバル化の動きは1970年代の金本位制の撤廃で決定的となった。FRBの仕事は主に二つあった。

  • フィアットマネーを延命させること。価値の裏づけのない通貨をバックアップするために、石油のドル決済と強大な軍事力を維持しなければならない。
  • 本源的価値をもつゴールドの価格はなるべく上昇しないように操作すること。

こうしてグローバルマネーの自己増殖が経済を席巻し、2007年のリーマンショックでとうとう極点に達した。

ナショナリスト(金融是正派)の反転攻勢

デリバティブが生んだ返せるはずのない負債に悲鳴を上げて崩れかかる金融コングロマリットは、政府による救済(ベイルアウト)を受け生き延びたが、政府が「ただで」救ったはずはなかろう。

千載一遇のチャンスに遭遇した政府内、規制当局内のナショナリストが反攻に転じたはずである。あのとき、おそらくは救済の交換条件が示された。それは「一定期間は猶予するが、それ以上はもうお前たちの勝手は許さない。それでいいな」というような内容のものだったのではないか。

そして「猶予期間」は10年だったように思われる。仮想通貨界内部で二重支払い(double spend)問題の解決に時間を擁していたと聞くからだ。

このような金融是正派とも呼ぶべき政府関係者を英語ではホワイトハットと呼ぶ(通常は良いハッカーをホワイトヘッドと呼ぶが、現在では語義が拡大され、金融資本の悪さをいさめる存在をも指すようになっている)。

規制当局の長はホワイトハット

先ごろ開かれた公聴会でもホワイトハットの代表格であるCFTC(商品先物取引委員会)議長のクリス・ジャンカルロ氏は仮想通貨に好意的な意見陳述をして、クリプト界隈に安心感を与えたばかりだ。

↑の記事から重要部分を引用すると、

ブロックチェーンが金融機関や慈善事業、社会事業、農業、物流等多くの産業に恩恵をもたらす可能性を指摘し、同技術の発展を阻害しない規制の枠組みが必要だ

仮想通貨は決済や金融、経済活動にパラダイムシフトを引き起こしている。監督機関がこれらを無視することは責任ある対応と言えない

明らかにCFCT議長は仮想通貨を守ろうとしている。いかがわしい取引所業者やICO詐欺、犯罪集団やハッカーたちを締め出したい。そのためには政府議会をうまく説得し、法整備にこぎつければいい。

こうした大きな流れを追っていくと、大きな意思の存在を感じる。仮想通貨の生みの親が一介のコンピューター・エンジニアやナードであるようには思えない。いや生みの親ではあるかもしれないが、彼らをバックアップしたホワイトハットの黒幕があるはずだ。

それについては、別記事で面白い説を紹介しよう。