[相場考] 長期ブル相場の背景を支える変化

2019年6月2日独自コラム, 相場考

今回の記事はこの相場の背景、長期的な展望についてです。クリモネがどうして長期ブルのままでいられるのか、その理由をこれまでとは違う視点から書いてみました。中国問題とMMTは深く連動しているのです。

長期ブル相場の背景にある変化

なぜクリモネは長期ブルなのか?

1000年単位の技術革新:技術は身体の延長から脳の延長へ、さらには寿命の延長⇒不死化へ

最大の理由は、AIやバイオテクノロジーを通じて人類の知能のみならず意識や寿命まで劇的に変える可能性が、これから本格化していくからです。株価を押し上げる要因としてこれ以上の何を望めるかというくらいの大ネタです。

人間は脳の機械的代替では満足せず、脳そのものと機械をリンクさせ(あるいは一体化し)、意識の不死化、やがては個体の生命の不死化に挑むことになるのでしょう。その過程で病気、とくにガンの克服は不可欠の条件です。ITとバイオテクの結合は医療だけではなく、他のありとあらゆる産業を巻き込んでいかざるを得ません。

そんな人類史的に重要なタイミングなのに、ここ数十年猛威を振るった新自由主義者などの金持ち優遇グループのせいで、先進国でさえ国民の多くが困窮しています。新時代をけん引する支配層(ご本尊、エリート層)が現状を放置しておくとは思えません。

新自由主義の後退と利他主義と庶民の懐の再生

新自由主義排除の狼煙はリーマンショックでした。次がブレクジットとトランプ大統領。しかしいま振り返ると、リーマンショック後に発動されたゼロ金利政策もQEも、傷ついた金持ち優遇グループ自身の救済が主目的であって、「持てる者」の資産をさらに増やすことに貢献しただけでした。モノ余りなのに先進国で貧困率が上昇し、「持たざる者」(多くの国民)が豊かさを実感できないのは当たり前なのです。

こうした金持ち優遇グループの刹那的な利己主義は、AIやバイオテクを踏まえた未来の人づくりに向けて足手まといな思想になっていると思われます。ブッダやキリストや老子や空海やプラトンやハイデッカーやアインシュタインを丸呑みして、利他主義と利己主義(個人主義)を調和させる知性体でなければ、とても「進化した人類」などと呼べないでしょう。

今後、新自由主義権益層にとってわかる新勢力は、ポピュリズムやナショナリズムを隠れ蓑にしつつ、これまでの「持てる者」優遇から、庶民の懐の再生(済世)へ舵を切ることになるでしょう。

2022.1.6追記:コロナ

コロナショック後、世界の様相は一変しました。新自由主義をやめるという読みは当たりましたが、非常に気が滅入るかたちでの変化となっています。疫病を口実に全体主義的な統制社会を呼び戻し、無理やり「ある方向に」人類を進めせようとする悪意のようなものを感じます。

「庶民の懐の再生」は給付金、ベーシックインカムといった「税の先食い」を通じて実現していくようです。支配層はあくまでケチで自分の懐は傷めないのですね。

 

時代の変わり目:前近代の切り捨てと禁じ手の復活

おそらくは、そのための中共つぶし(対中戦争)であり、昨今のMMT推しなのです。世界の主宰者だかご本尊だかしりませんが、とにかく一部のエリートたちは何が何でも資本主義を延命させたいようです。しかし現状のままでは、早晩やってくるQEのツケを払う際、大変な世界的混乱を招くことになります。第二次大戦の呼び水となった世界大恐慌の二の舞だけは避けたいのです。ショックを緩和するためには疲弊した庶民にお金を回して体力をつけさせるしかありません。ベーシックインカムを言い出しているのもこうした思惑でしょう。

なぜ中共つぶしなのか?

共産資本主義チャイナは新自由主義的利己思想の申し子だからです。富める者が益々富むために必要だったのが安価な労働力と、巨大な市場でした。だからアメリカを中心とした日米欧の金融勢力は中共に取り入って暴利をむさぼりました。

米中貿易戦争はその一環ですが、中共には本気でアメリカと “戦争” できる力も、将来ビジョンもありません。つい数十年前まで寝ていたこの巨大ローカル文明はいまだに “前近代の” 世界観で生きています。中国という国は帝国経営を知らず(知っているのは旧モンゴル人です)、朝貢政治しかできないのですから、世界に受け入れられるはずがないのです。落としどころは彼らのメンツをどこで立てて黙らせるか、最悪、国家を分割するかに絞られていくでしょう。その “協議” に時間がかかっているのです。

なぜMMT推しなのか?

日本の財務省増税派やドイツに代表される “空気” を読めない連中(財政均衡の綺麗ごとで自己利益を追求する自己厨たち)にくさびを打ち込み、将来の危機に備えた世論を醸成するためです。

おそらく新勢力の青写真では、QEのツケを払う破目(経済危機)に陥ったとき、日米欧の当局が協調して「金融政策+財政出動」の政策パッケージを駆使し、ショックを緩和するはずです。さもなければ経済の生産基盤そのもの(国民)が倒れてしまいます。国民が倒れれば元も子もありません。国民という宿主を失った “金融寄生体” も死に絶えます。

ずっと禁じ手になってきた財政出動を再開するには、それを大歓迎する世論が必須で、そのために新勢力は「国民の得になる」(たとえば大幅減税を伴った)財政出動を喧伝するでしょう。その背景理論としてMMTが使われるのだと思います(ニューディール時代のケインズ政策の成功体験と、MMTの出自がニューケインジアンにあることは非常に示唆的です)。

2022.1.6追記:インフレ+低金利による債務つぶし

WW1、WW2で使った名目上の債務減らしをする算段のようです。この戦術は企業業績が悪化しない限りは有効だと思われますが、根本的解決策ではありません。何か別の解決策を実行するまでの暫定措置(時間稼ぎ)だと思います。

 

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