トレードの実際:インジケータとサイクル

2018年1月3日

当サイトでは日経平均先物を中心にチャート分析を行っていますが、必要に応じて金銀、米主要指数(ダウ、S&P500、ナスダック)、米セクター別指数(半導体、銀行株)、為替(主にドル円)などの分析も織り交ぜています。

※2020.9.6 「投資歴」を別ページに分割の上、そちらに加筆。
※2021.2.11 大幅に加筆・修正。
※2021.3.14 「サイクル」部分に加筆・修正。

投資スタイル

日々の糧を稼ぐ場所は日経平均先物ミニです。先物で稼いだ収益は、長期投資用の現物株やETFに回します。もちろん一部は消費(散財して日本経済に貢献)や貯金(セコンドホーム購入資金)にも出金しています。

  • 先物はあくまで現物の元手を増やす場所と割り切っているため、これまで証拠金の上限を1,500万円と決めていました。しかし2021年以降、相場はバブルの最終段階に移行しており、トレンドが出やすく、かつボラタリティの高まりを期待できます。またバブルの天井から大規模なベア相場に転換する可能性も高く、今度は暴落・急落でショートポジションによって儲けるチャンスでもあります。これはトレーダーにとって千載一遇の「稼ぎ時」であると判断し、先物の儲けをそのまま先物口座内に積み増していくやり方に変えました。
  •  2020年末に1,220万円で始めた先物口座の残高は2021年3月13日時点で3億円を超えました。ロットを大きくした効果は絶大です。以前はミニ50枚が基本でしたが、現在は100-300枚が基本になっています(スキャポジ込みの瞬間最大風速的な最大ポジは証拠金の1/2超えあり)。
  • これ以下、具体的にどういう風にトレードしているのかを説明してみたいと思います。

何を見てポジションを取るのか?

まず何を頼りにポジションを取るかですが、まず日米の株式指数を見て大局の状況ートレンドがあるのかないのか、上昇トレンドか下降トレンドか、それともトレンドレス(ヨコヨコ)かーを把握します。

常時監視対象は日経先物SPX先物ナスダック100先物の3つ。補助的にダウ先物、ラッセル2000先物、上海総合指数、DAX先物、ドルインデクックス、ドル円、ユーロドル、米10年債金利などもチェックします。

テクニカルインジケータとして常時監視しているのは節目(サポート・レジスタンス)、サイクル(15分足のサイクルと日足のサイクル、その形状)の進行、そしてオシレーター(ストキャスティクス、RSI)の動きだけ。補助的に移動平均線の位置と向き、一目均衡表の基準線・転換線と価格の位置関係などを確認します。

外部要因であるニュースや材料は基本的に気にしていません(ただし、大きな情勢についてはツイッターやブログを参考に読んでいます)。

トレードの実際

  • 状況(確率)に応じて一挙に300枚入れるときもあれば、50枚しか入れないときもあります。買い専門でも売り専門でもないので、都度の状況(自分の判断)に合わせて、ここは買いだと思えばロングし、売りだと思えばショートします。入るときは成り行きが圧倒的に多く、指値で入ることは滅多にありません。
  • ただし、ここを超えれば買い(売り)という状況では節目に逆指値のロング(ショート)注文を入れます。
  • エントリの決め手ですが、最重視するのはサポート/レジスタンスの節目です。これにアメリカ指数先物の状況、節目の価格が形成するトレンドライン(TLと略記、上値抵抗線/下値支持線とも)、現値と移動平均線の位置関係、そのときの線の向き(上向き・下向き)などを加味しています。書くと長々としますが、慣れてくると瞬時で判断できるようになります。
  • スキャルピングの延長にスイングトレードがあると考えますので、最初からスイング用ポジションをつくろうとは思っていません。
  •  ロング(ショート)注文と同時に狭めのストップを設定し、うまく利が乗ればまず損しないことを最優先して部分的に利確します。
    • 通常ストップは20~30円幅です。たとえば、29500円でロングした場合のストップは29470~480円。これはエントリを厳しくするための措置であるとともに、もしストップアウトしたら、初回より有利な価格で新たなポジを建てるための戦術でもあります(イケると思えば初回より枚数を増やす)。専門用語ではRisk/Reward Ratioと言うようです。RRRが高まれば、その分枚数を増やすのは期待できる利益を高める合理的行動なのです(その分、緊張やプレッシャーも高まりますが致し方ありません)。
    • エントリ後、5分以内に一度も利確できないポジションは悪いポジションですので逃げることを優先します。逆に、入ってすぐ利が乗ってきたポジションはなるべく大切に保持しようと考えます。
    • ポジは通常3~5分割して部分利確を重ねます。最初から大きく利が乗ったときなどは例外的に部分利確せず、そのまま数百円利益が出るまで利確しないこともあります。
    • 部分利確の最低目標は30円。自動利確注文を出す場合(レンジ相場に多い)は50円、100円、200円といった刻みです。
    • 大きく取れればそれに越したことはありませんが、常時一攫千金願望を懐きながらのトレードは危険です。相場の一寸先は闇なので、とにかく損しないことを最優先させます。これで己の中でせめぎあう欲と恐怖を宥めるのです。
    • 損しないことが確定すれば気持ちが楽になります。大きく獲るための秘訣は、実は心理的なものだと思います。気が楽になると大きな儲けにつながりやすいのです(判断の冷静さ、怜悧さが増すのだと解釈しています)。

ニュースや材料は基本無視

    • 相場の大状況は気にしますが、日々のニュースは基本シカトです(投資家のセンチメントを知るための参考にするだけ)。ファンダメンタルズの分析は行いません(行えません)。
    • とくにリーマン・ショック以降、とりわけコロナショック以降の相場は空前の金融緩和の影響が強く、ファンダベースでは対応できません。
    • 蓄財の基本手段は本来、現物株の長期投資。先物の収益は長期資産形成と配当取りのため、最終的には現物株式かETFに回します。

トレードの実際

  • 超長期の流れを月足で確認。日足・週足で中長期の動向をイメージし、想定シナリオを描きます。イメージの素はアメリカ株の動向=世界経済の流れです。日本独自の要素は二次的な要素です。
    • シナリオに則り、15分足60分足で状況をつかみ、実際のエントリは1分足3分足5分足のオシレーター系のストキャスティクスまたはRSI(またはMACD)の状態を見ながら行います。
    • うまく行かなければエントリを中止するか、別のシナリオを考えます。
    • 日々の相場の特徴として、トレンドのはっきりした状態よりはっきりしない状態(=値幅の少ないヨコヨコ・コイル型調整、一定幅を上限するレンジ相場など)の方が時間的に圧倒的に長いというのがあります。そのため値が動きやすい寄り後、後場明け、15時前後などに出やすい極値(噴き上がり、または突っ込み安)を狙うのが最も効率のよいエントリタイミングです。
    • トレンドレス(レンジ相場)の状況でエントリするときはストレスも高いし期待できる利幅も小さいので少なめの枚数でポジションをつくります。
  • ふだんは以下のマイルールに従い、数分~数日のスパンで売り買いしています。
    • ポジションを建てれば必ずコストが発生しますので、30~50円程度利益が出たら最初の利確を行い、ストップを買値(もしくは売値)同値にセットし、絶対損しない状況をつくります。その上で、利益を伸ばします。
    • エントリ直後に、ストップと自動利確注文(エントリから50円と100円)をセットするのが習慣になっています。
    • 強いトレンドが発生している場合は、なるべく長く(理想はひと月以上)ポジションを保持して1,000円以上の利幅を狙います。経験的に中期でとれる最大利幅は3,000円程度です。
  • ツイートをご覧いただければわかりますが、ポジションはつねにストップと同時に組みます。
    • ストップは非常に大事です。また、含み損を持たないことが勝つための鉄則だと感じています。含み損をもつと冷静なトレードができなくなる苦い経験から学んだ教訓です。
    • 間違えば潔くポジをたたみ、次のエントリに集中します。
  • 買い豚、売り豚どちらのスタンスも持ちません。相場の実際の動きに合わせることを心がけています。

以上のような感じで、ここ数年8桁の利益を稼ぎ出しています。

ブログ主が主に使っているチャート分析用インジケーター

個人的に、テクニカル指標はなるべくシンプルな組み合わせの方が好成績につながるため、常用しているのは次の4つだけです。

  • 単純移動平均線(MA)
  • オシレータ系のRSI(またはMACD)とストキャスティクス
  • 一目均衡表の基準線と転換線
  • ボリンジャーバンド(BB)
  • 相場の大きな節目(年に数度)では、Value Line Geometric(XVG)、マクラレン・オシレーター(NYMO)、Cappock Curveなど「中長期の資金の出入りをチェックするための指標」も見ることがありますが、あくまでも補助的な位置づけ。

単純移動平均(MA)

主に5、25(26)、50、75、200を使用します。

重視しているのは25(26)と50。これは60分足でも日足でも同じです。

日々の先物取引では50HMAを最重視しています。ブログ主は、アメリカ株から投資を始めたので向こう仕込みのところがあります。アメリカでは非常に50を強く意識するので自然と習慣になりました(短期は10という数字が大事です)。ただ、日経平均の場合、日足の5DMA25DMA75DMAが重要なのでそれらにも注目しています。

ツイートやブログ記事での表記はタイムフレームを明確に示すために、以下のように添え字をしています。

  • 週足の場合:”Week” の “W” を添え、26WMA、75WMAなど。
  • 日足の場合、”Day” の “D” を添え、5DMA、25DMAなど。
  • 時間足の場合、”Hour” の “H” を添え、50HMA、200HMAなど。
  • ただし、15分足や4時間足の場合は50本線、200本線などと書き分けます。

RSIとMACD

RSIやMACDについては絶対値ではなく、相場の勢い(買い圧、売り圧の強さ)を見ています。

相場の高値圏では、価格のピークが上がっているのにRSI(MACD)のピークが下がっている逆行現象(ネガティブ・ダイバージェンス、表記はNegDiv)が出やすく、逆に相場の底値圏では価格が下がっているのにRSI(MACD)は下がっていないポジティブ・ダイバージェンス(表記はPosDiv)が出現しやすくなります。これは天地の判断に有益です。

ボリンジャーパンド(BB)

これもα(偏差)そのものではなくバンドの伸縮を見ています。相場は大方行き過ぎるものなので±α3を目安に買われ過ぎ、売られ過ぎを判断しています。バンド幅が狭まり、ある程度収縮が進行すると、価格は上か下へ大きく動きやすくなります。逆にα3程度まで伸び切ったバンドは収縮方向へ動くので、価格は動きにくくなります。

表記はBBと省略します。ミッドBBとはバンドの上下を分ける仲値(middle band)の意味です。通常は当該タイムフレームの20単位MA(日足なら20DMA)に相当します。当サイトではBBを26、αを±2に設定しています。

テクニカル指標の使い方などについて詳しいことは以下のテクニカル講座をご覧ください。

値幅調整と日柄調整

  • 以上を使いこなすうえで、タイムフレームの概念は重要です。同じ株価(価格)であっても月単位、週単位、日単位、時間単位で見え方が変わります。また、どのタイムフレームを基準にトレードするかによって相場の見え方が変わります。クリモネが日常的に参照しているのは、週足、日足、60分足、15分足の4つです。
  • 日柄(サイクル)の概念も無視できません。各市場は独自のバイオリズムを持ち、おおよそ20~35営業日で1つのデイリーサイクルを形成して、それを繰り返しています。
    • サイクルの動き方には値幅調整と日柄調整の2つがあります。
    • 値幅調整では価格が大きく変動し、トレーダーは短期で大きく儲けるチャンスです。
    • 日柄調整は変動幅が小さく日数(時間数、分数)をかけて買われ過ぎ(売られる過ぎ)の状態を解消させるので、概してトレーダーは小さめの利幅しか取れません。あまり参加したくないタイミングです。

デイリーサイクルについて

おおよそ20~35営業日で1つのデイリーサイクルを構成します。1つのデイリーサイクルは1組の山(ピーク)と谷(トラフ)で構成され、谷(安値)に始まり、山(高値)を形成し、次の谷(次の安値)に落ちたところで完結します。

  • サイクルには以下の三種類があります。
    • 山がサイクルの前半に来るピーク左寄り(left tranlslated)のLTサイクル。
    • 山がサイクルの後半に来るピーク右寄り(right tranlslated)のRTサイクル。
    • 山がサイクルのちょうど半分の位置に来るニュートラルサイクル。ニュートラルサイクルは出現頻度は低いのですが、売り買いに偏りが少ない気迷いの状態を表すのでトレードには不向きです。
  • サイクル開始時の谷(前サイクル終了時の安値、谷1)とサイクル終了時の谷(谷2)の位置関係でトレンドが上昇か下降か、どちらでもないか判断できます。
    • 通常、RTサイクルは上昇波動のサイクルです。谷1の価格<谷2の価格となることが多く上昇トレンドに乗っているのです。谷2は押し目買いの機会となります。
    • 稀にRTサイクルの山をつけた後、急落が起き、谷1の価格>谷2の価格でサイクルが終わることがあります。この場合、上昇トレンドは継続していますが、買い方の勢いが失速しているので注意が必要です。
    • 通常、LTサイクルは下降波動のサイクルです。谷1の価格>谷2の価格となることは多く下降トレンドに乗っているのです。谷2では買えますが、次のサイクルの山で売るつもりで入った方がいいでしょう。

概してRTサイクル=上昇波動、LTサイクル=下降波動だが、決めつけは危険

トレードの基本原則として「長いサイクル優先」というのがあります。たとえば、週足のウィークリーサイクルが上昇トレンドの場合でも、日足のデイリーサイクルでLTの下降トレンドが出現することがあります。その場合、ウィークリーサイクルが明確に下落転換しない限り、カウンタートレンドの調整型サイクルと見なすべきです。

月足・週足の大きな流れが上昇トレンドの場合

現サイクルがLTサイクルで、終了時の安値<前サイクル終了時の安値であっても、現サイクルは上昇トレンド内の調整型サイクルであり、大きな流れとしては上昇トレンド継続と考えます。

月足・週足の大きな流れが下降トレンドの場合

現サイクルがRTサイクルで、終了時の安値>前サイクル終了時の安値であっても、現サイクルは下降トレンド内の調整型サイクルであり、大きな流れとしては下降トレンド継続と考えます。

参考:2021年コロナ後の日経平均先物日足のサイクル

一見ランダムに上下しているかに見える相場は、概して20~35営業日のサイクルで動いていることが見て取れると思います。また、上昇サイクルばかりで明確な上昇トレンドにあることがわかります。

注目は、本来RTのはず上昇サイクルにLTがたまに混じっている点です。カウンタートレンドであるLT(ピーク左寄り)サイクルが出現するのは、相場の潮目が切り替わる直前だという事実です。言い換えれば、LTサイクル終了時の価格が「急騰フェーズの基点」になっています。絶好の買い場となりやすいのです。

凡例:パープルが上昇サイクル、ピンクが下降サイクル

※チャートクリックで別ウィンドウに拡大表示

コイル型調整

実際の相場は、LTともRTともつかない横ばいの動きをして、あいまいな雰囲気を示すことも珍しくありません。こういう場合を個人的にコイル型調整(または単にコイル)と呼んでいます。

コイル型調整の重要な特徴は、サイクル終了時に本来(長い足)のトレンドと逆に動いてサイクルを完結させる確率が高い点です。ダマシの動き(逆方向)でトレーダーを惑わせてから、本来のトレンド(順方向)へ戻る動きことが多いのです。ジャンプする前に屈み込むようなものです。

短い足のサイクル

相場はつねに上下動の繰り返しているので、サイクルはすべてのタイムフレームに存在します。日足にデイリーサイクルがあるように、週足にはウィークリーサイクルがあり、60分足や15分足にもそれぞれの周期性があります。

クリモネの場合は15分足のサイクルを相場のリアルな息づかいを感じ取る手段として常時監視しています。そのくらいの単位が先物トレードに適しているからです。

たとえば、下のチャートは2021年2月10日の日経先物15足ですが、およそローソク足30本前後で1つのサイクルを形成していることがわかります。一連の動きが、上昇波動(RTサイクル)、コイル型調整(ヨコヨコ期間)、調整(下落)波動(LTサイクル)の組み合わせで出来ているのがわかると思います。この例の場合は、上昇波動が多く、大きなトレンドは上向きであることがわかります(調整波動はたった1つしかない)。

※チャートクリックで別ウィンドウに拡大表示

裏ワザ?

長くトレードに携わっていると、時々、チャート上の図像的なイメージが思わぬヒントをくれることがあります。これは同じような人間(の組んだアルゴ=プロのコンピュータ自動売買プログラム)が参加しているので、似たパターンや動きのクセみたいなものが生じるためと思われます。

例えば、2019年8月の先物相場はどっちつかずのむずかしい動きを続けていました。ところが8月下旬、その3週間前の8月初旬の動きをトレースするような動きが出現してることに気づきました。以下の4時間足チャート上の水色矢印の部分です。この図像パターンの類似に気づいたことで、20300円台でロングポジをとり、20500円台から21800円台への上昇波動に乗ることができたのです。

欲と恐怖の制御

相場は世界や経済を身をもって学べる大変ありがたい場であると同時に自己研鑽の場でもあります。多くの人間のむきだしの欲と恐怖のせめぎあう一大修行道場にいてトレーダーは多くのことを味わえます。

日々、己の弱さ、いたらなさ、愚かさ、思い込みの浅はかさ、意外な展開、ひらめき、ときめき、ドキドキ、ワクワク、うんざり、眠気などと向き合っていると、お金を扱いながら実は自分の扱い方を学んでいることに気づかされます。己を深く知えることで、自分のいたらぬ行動を矯正している、と言ってもいいかもしれません。ですから少し結果が出ないからと言って諦めずに、長く励んでください。

その成果が具体的な損失や収益となって表れれば、他に代えがたい喜びをもたらしてくれます。相場が教えてくれる痛みや快楽を通じて、リアルな自己節制の術と謙虚さを身につけ人間として成長できれば、それに越したことはありません。

お約束の断り書き

言わずもがなですが、当サイトは売買記録を公開したり、買値や売値を指示したりで閲覧者からお金をとる営利目的の投資サイトではありません(ツイートはあくまでボランティアです)。具体的な投資の判断はみなさんご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

Posted by クリモネ