[週末分析] “緊縮脳” に潰される日本経済:金曜が底だったのか?それとも反発後に奈落の底に落ちるのか?

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ぞっとするような、つるべ落としの下げに見舞われた世界市場。日経は1月の高値24115円から金曜晩の20465円まで3700円近くをひと月で失いました。今回は日経とS&P500を分析しました。その前に、政府の経済オンチに憤懣やるかたないので文句を書いてみました。

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コロナはきっかけに過ぎない:逆リーマンショックと緊縮脳

今回の急落は異常事態です。ツイートしたように、チャート形状は1987年のブラックマンデー時に似ているのですが、それはコロナウイルスが突発的な異変だからでしょう。

しかしコロナはきっかけに過ぎません。相場は調整したいタイミングだったのです。

まずアメリカ株について言えば、昨秋以降のステルス(目に見えない)QEで相場の嵩上げが続き、利確したくてウズウズしていた大口の投資家が、ウイルス禍を口実に売りを本格化させました。

いま大きな資金が恐れているのは “逆リーマンショック” ではないか、と思います。今回はあのときのようにクレジットクランチで金融危機になって暴落に至ったのではなく、突発事象で急にお金の流れが滞って、それに株が反応して暴落。その後に追い討ちで金融機関が倒れるのではないか。それこそ金融クライシスのパンデミックが起きないか、それを投資家は危惧しているのでしょう。

しかしアメリカ経済に関しては内在的要因による急落ではないため、おそらく一時的景気後退(マイルド・リセッション)で済むと考えます。

翻って日経。日本にはもっと内在的な要因が絡んでいます。中国とマインドセットの2つです。

まず、この後説明しますが日本は中国経済との関係が深すぎ、中国失速の影響は深刻なものとなるでしょう。インバウンド消費の落ち込みなど本筋ではないのです。

次に、この国に蔓延している “緊縮脳” (austerity mindset)。その破壊力はコロナウイルスの比ではなく、日本経済の基礎体力を数十年に渡って奪ってきました。金融危機でも震災でも原発事故でもマインドセットは一向に変化なし。そんな折、先般の消費税増税が決め手となって今回の急落につながった、と見るべきでしょう。コロナがなくても経済は傷んでいたからです。いくら黒田さんが頑張っても、後ろでブレーキ踏まれたら前に進めません。

日経はなぜどこより早く大きく売られるのか?

為政者の緊縮脳が間違った経済政策を延々と続けているからです。

今回も例外ではありません。中共に忖度するのは構いませんが、その傍らでなぜ景気後退への備えを急がない?国民に我慢を強いるなら、その見返りに景気を下支えするのが政府のしごと。みんなで我慢してみんなで沈没したら洒落になりません。

いま政府に求められるのは経済政策の一大転換。危機を克服するには内需拡充を盛大に行い、外部要因への耐性を強化する以外、道はないと思います。

日本は輸出依存度が低いというのは経済神話

コロナ禍で中国経済がコケると日本への打撃は相当なものとなります。日経急落の真因でしょう。

なかには日本は輸出依存度が低い(内需依存の)国だと言い張る向きもありますが、彼らは見かけの数字に騙され、経済構造の実態を見ていないのです。国内調達率の高い日本の輸出企業(たとえばトヨタ)が打撃を受ければ、その影響は裾野を構成する関連産業、中小企業を広く直撃します。

だからこそ安倍政権は内需の拡大・充実で国民経済の基礎体力を回復させなければいけないのです。しかしマスメディアはこうした議論をスルーし、政治家は新自由主義者のトンデモ経済理論にほだされ、財務省の緊縮財政厨に押し切られて消費増税に踏み切ってしまいました。せっかく日銀がばらまいているお金は金融ゴロの懐を満たすばかりで、国内経済で循環していません。

ひとえに、財務官僚の緊縮至上主義という “思想” (austerity mindset)が経済破壊を進めてきたせいです。国体を護るべき官吏としてあるまじき逆臣行為なのですが、誰も咎めません。官僚無謬主義はもうやめにしないと日本は衰退する一方です。

(いまの自民党の面子、野党の体たらくを見ると、絶望的な気分になりますが…..)コロナ禍のピンチをチャンスと捉え、政府には休業者への一時金給付などのツケ刃だけではなく、もっと抜本的な、さらなる財政出動、消費税の時限停止、減税など大胆な措置を実行してくれ!

さて、文句はここまで。次はチャート分析です。日経は本当の正念場にあります。ここで対応を誤れば、「それ言わんことか」と紫髪のおばさんにしたり顔で自慢されてしまいます。

日経先物 週足

早くも200WMAテストかつアベノミクス下値支持線テストで後がない土壇場の状況。安倍政権が「緊縮脳」を除染できなかったツケが一気に訪れました。

これ以上売られればアベノミクス相場自体の終焉と見なさざるを得ず、ふたたび日本経済は沈んでしまいます。中長期的に見て来週以降3月の動向はとても重要です。

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日経現物 日足

今回の急落を今年1月の24115から始まったと見れば、先週金曜がC波の底(もしく底近く)になった可能性があります。Bを急落の開始と捉えるなら、それはA波の底(もしく底近く)に過ぎません。

今後については、アベノミクス下値支持線を守る最良シナリオと、大きく割り込んでアベノミクス相場が終わってしまう最悪シナリオの2通りが想定可能かと思います。

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S&P500現物 週足

すでに、直近のコンソリデーションゾーンの上限域(ブレークポイント)まで売り込まれ、ここで底入れする可能性があります。

そうでない場合には、200WMAテストまで叩き売られる「政策催促」が行われるシナリオもあり得るでしょう。

それでも長期的に見れば、かすり傷程度の調整に過ぎません。それくらい2009年以降の大相場は遠大なものだということになります。

いずれにしても、今回の大調整によってアメリカ株の相場つきも変わらざるを得ないと思います。これまでのようなイケイケドンドンは終わり、大きなレンジで動くコンソリデーションのフェーズに移行するのではないでしょうか。

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