[仮想通貨] 仮想通貨の惨状:その原因は何か?現状チャート付き

仮想通貨チャート, 独自コラム

久しぶりにチャートを解析していて仮想通貨の惨状(バブル崩壊後)を改めて目の当たりにした。この惨状を招いた原因と、仮想通貨の今後について簡単に考えてみた。

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爆弾はBISから降ってきた

現在の惨状の原因は、いわゆるハイプ(hype、誇大宣伝、ホラ話)と現実の差が投資家に認識されたためだろう。その大きなきっかけとなったのは、今年6月末に発表されたBIS(国際決済銀行)の年次経済報告書だ。異例なことにわざわざ1章を割いて仮想通貨の問題点を指摘している。

遅い、高い、非効率

以下の記事にうまくまとまっているので引用しよう。

中央型(一元集中管理型クライアントサーバー)システムに比べ、ブロックチェーンを用いた分散型(分散台帳)は、遅い、効率が悪い、スケーラブルではない(データ量が増えると機能しなくなる、大量の処理でネットワークの混雑が発生する等)、莫大なエネルギー(電力)を消費する(多数のコンピュータを用いて演算を延々と行うために膨大なコンピュータの演算能力を消費するため)といった特徴がある。

金融取引などの処理や記録にこれを応用したシステムを導入すると、決して「安い、速い」になるはずがなく、「運営費用が高く、莫大な電力を消費し、遅い」になるわけである。さらに、BISの年次報告書では中央銀行デジタル通貨についてもかなり否定的な評論をしている。

このBISの年次報告書におけるブロックチェーンに対する評価の持つ意味は、非常に大きい。日本では、ブロックチェーンで送金が早く、安く(いつもだいたい1/10)可能になるとかという方がいたし、記事も見てきた。

現在、決済を始めとした金融取引にはブロックチェーンは向いていない、といわれている。まだ使える余地があるとしても、たまにデータを書き換える不動産の登記簿などぐらいとみられている。

優位性の欠如

うたい文句とは異なり、現実に仮想通貨を金融決済システムに用いると、運営費用が高く、莫大な電力を消費し、遅い。これがBISの冷静な評価なのである。ブログ主は英語の原文を流し読みしたが、文書は仮想通貨にけっして否定的ではない。ただ技術として未成熟だといっている。とくにブロックチェーンに関しては改良の余地大で、今後、大きな課題解決がないかぎり金融決済システムとして使いものにならないと。

各国の中央銀行や大手銀行でも実証実験はさかんに行っているが、筆者いわく、積極的に乗り換えるほどのコスト効果も、画期的改善も見られない。現状ではみな仮想通貨決済の採用に前向きではない。

詐欺や未熟な事業者が多い現状は業界としても自立できていない。期待だけでお金が動いている。典型的なバブルだ。そんなところへ現行の中央集権型システムから乗り換えるインセンティブ(メリット)は存在しない。

メリットがないだけでなく、銀行や決済サービス機関にとってコストの面でも、安全性(堅牢性、信頼性)の面でもたいへんリスキーだ。先進諸国の大手の中で、そういうものにOKサインを出す経営者はいないはず。これと同じ流れなのだろう、ビットコインのETF化もふたたび証券取引監視委員会に見送られた。

 

図解で見る仮想通貨の問題点

問題のBIS年次経済報告書第5章からいくつか画像を引用しよう。英語の文言は無視して、絵を見てほしい。

 

中央集権型の現行金融決済と仮想通貨の分散台帳方式

左が現行方式、右がクリプトの分散台帳だ。明らかにクリプトのシステムは煩雑だ。スピードでかなうはずがない。

 

スケーラビリティと手数料の問題

左は手数料の推移、右は決済ブロックの混雑度。たとえば、年末セールなどで決済件数が膨れ上がると、その分、手数料も高騰する。

ビットコインキャッシュがこの点有利だといわれるが、それはクリプト界内部での相対的な話であって、原理的な解決にはなっていない。既存の決済システムの圧倒的なスケーラビリティに対しては勝ち目がない。

 

通貨数の肥大化

そもそも貨幣は信用第一である。群雄割拠していたり、雨後のタケノコのようにICOが出てきて、まともな通貨(トークン)とゴミや詐欺まがいが混在していること自体、クリプト界全体にとってまずいのである。

さきほどの記事を引用すれば、フィンテクを産業として立ち上げるために当局も我慢に我慢を重ねている。玉石混交は百も承知、そのコントロールに苦慮しているのだ。

そもそも、仮想通貨交換会社は免許制になる予定であったが、政府がフィンテックというものを推進するために登録制になったといわれている。

それは欧州も同様で、ECB(欧州中央銀行)ドラギ総裁も仮想通貨には苦慮している。フィンテック(新産業)の育成という名のもとに犯罪の温床を残すべきかと、日本と同じ問題に直面している。

 

さしあたっての結論

仮想通貨には、銀行憎し、政府憎しのリバタリアン、ノマドらのイデオロギーが前面に立ち過ぎた。当局に立ち向かうと言っても、こちらの大将をつくらず、歩兵ばかりつくっている。総大将ひとつ決められれないのだ。クリプト界に政治センスのある指導者が出てこないと解決は無理そうだ。

そういうわけで、チャートが示しているように仮想通貨の第一の宴は終わった。でも、未来が閉ざされたのではない。試練のときなのである。もう一段二段のイノベーションが起こり、玉石混淆状態から抜け出すことが肝心だ。

各銘柄の現状チャート:BTC、BCH、ETH、XRP、EOS

ツイートした各チャートへのリンクを用意しておく。