[海外記事] ようやく欧州が動くのか、仏独主導で仮想通貨の規制強化というブラフ

海外記事

今回は海外記事で情報提供というより、いかに海外発のブラフに惑わされないようにするかという注意喚起のような内容である。

海外で規制強化の動きが本格化してきたという報道。読み違えてはならない。フェイク好きなメディアのくせでセンセーショナルなタイトルをつけたがる。英語でbanは「完全に禁止」というきつい表現だが、crackdownは取り締まり程度でそれほど深刻な意味ではない。

「どっちなんだ?」と思わせて先を読ませる姑息といえば姑息なテクニックである。こういう場合、内容は大したことがないというのが通り相場。とりあえず全文を通読してみよう(読みやすさを考慮し、改行などを修正している)。

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‘Cryptocurrency BANS are inevitable’ Macron and Merkel to trigger global bitcoin crackdown

「仮想通貨禁止は不可避」マクロン・メルケルが世界的な仮想通貨の取り締まり強化へ

France and Germany’s finance ministers have agreed to launch a joint crackdown on the cryptocurrency markets as countries begin to push back against the bitcoin boom.

仏独財務相は、世界的なビットコインブームの高まりを受け、事態を鎮静化すべく仮想通貨市場の規制強化への共同取り組みを開始することに合意した。

push back against something
「形勢を押し戻す」、「失地回復する」の意味。somethingに押されている事実があって、それを押し止めたいということ。この場合、ビットコインブームを普通の状態へ押し戻したいことになる。

 

Mark Wilson, the CEO of insurance company Aviva, said that cryptocurrencies face a “blizzard of regulations” in the coming weeks. Speaking to CNBC, Mr Wilson said cryptocurrencies presented a threat to country’s sovereignty and predicted that severe regulation was inevitable.

保険会社AvivaのCEOマーク・ウィルソン氏は、今後数週間以内に仮想通貨は「規制の暴風」に晒されると述べた。これはCNBCの番組でコメントしたもので、同氏は、仮想通貨は国の主権に脅威を与えており、厳しい規制は避けられないと予測する。

This comes as Emmanuel Macron and Angela Merkel are set to launch a joint clampdown on trading cryptocurrencies. French Finance Minister Bruno Le Maire said yesterday that the two countries will make joint proposals to regulate the bitcoin cryptocurrency at the next summit of the G20 group. The European Union has previously proposed treating‎ cryptocurrency markets as a security threat linked to criminal ‎laundering and terrorists.‎

これはちょうど、仏マクロン大統領と独メルケル首相が仮想通貨取引に関する規制案の作成を指示したタイミングである。昨日、ブルノ・ルメール仏財務相は、(本年3月の)主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、仮想通貨の国際的規制を共同提案したい考えを示した。欧州連合(EU)は過去にも、犯罪者の資金洗浄やテロリストの資金調達に関わる安全保障上の脅威として暗号通貨市場を認識するよう提案してきた経緯がある。

The Aviva CEO explained: “One of the keys to sovereignty is control of currency and tax. Cryptocurrency interferes with both of those, so it’s inevitable there will be regulation. It is as inevitable as snow in Davos.”

He added: “A lot of central banks and regulations are working on bans and regulations around the world. “China has already taken action and banned it. Other countries will follow. They must regulate. You have to keep the Treasury in the countries satisfied and keep consumers safe.”

Avivaウィルソン氏の説明によると、「通貨と税金のコントロールは国家主権の前提です。仮想通貨はどちらにも抵触し、規制がかかることは不可避です。ダボスに雪が降るのと同じ確率で不可避でしょう」。

また次のように追加した、「中央銀行や規制当局の多くは、仮想通貨の禁止または規制の法制化に取り組んでいます。中国はすでに行動を起こし禁止を実行しましたが、他の国も従うでしょう。そうせざるを得ないはずです」、そして「各国の財務当局を納得させ、消費者の安全を確保する必要があります」。

まとめ

やはり冒頭の一行で十分な埋め草的記事である。他社の記事もいくつか目を通したが、規制の具体的な中身は誰にもわからないようだ。それも当たり前で、おそらく具体的な中身など固まっていない。例によって、フランス一流のパフォーマンスが前面に出ている。いかにも自分たちが世界を主導している印象を作りたいのだが、現実は欧米が後れを取っているのだ。仮想通貨に関しては怪しげな取引所が横行する野放し状態なのである。

現実の対処は中国や日本の方がずっと素早い。中国はご存知の通り既に規制へ動いた。日本はいち早く仮想通貨法を作り、仮想通貨を「交換手段としては認めるが納税手段としては認めない」と定義し、取引所を届け出制にし当局の監督下に置いた(半人前の通貨、税制上は商品と同じ)。

この記事の構成は内容の欠如を民間人のコメントで補う典型的な埋め草記事の類だが、語られている内容自体は真っ当である。通貨まがいが放置されたら、国家主権の脅威になるのは事実だ。規制に動かない当局がいたら、そっちの方がまともでない。世界的に日本並みの秩序ある対応をしてくれたら、むしろ仮想通貨の取引がしやすくなるだろう。

おそらくG20なんかで提議しても強硬策は取れない。日本の現実的対応が見本になるだろう。ネオリベ全盛の時代にbanなどできる根性が政治家にあるとは思えない。もし取引停止などの強硬策が出てきたら、仮想通貨派は「マイノリティ差別だ!」「選ぶ権利の侵害だ!」と騒げばよい。crackdownとは要するに、合法的取引の場を整備するというメッセージだ。

そもそもマネーロンダリングやテロ資金の温床って何だ?仮想通貨を禁止したら犯罪やテロそのものがなくなるのか?

当局は仮想通貨を生かさず殺さず、彼らの金融利権を守ることを最優先するはずだ。